これまでインドネシアの漁業部門のうち、水産加工部門はすでに外資に開放されています。
でも、いわゆる網や釣りなどで魚を獲る漁業の最もイメージしやすい部門である、捕獲漁業部門は外資から閉鎖された部門となっています。

中国の南シナ海進出でインドネシアのナトゥラ諸島近海にも中国の手が伸びていることで、これが一部開放される可能性も出てきています。
大統領筋はこれまでナトゥラ諸島の実効支配強化のために軍事拠点設置などの強化策を打ち出していますが、この実効支配強化の一環として、豊富な水産資源を基に漁業を地場産業として育成することを目的に、ナトゥラ諸島域での捕獲漁業分野を限定的に外資開放する動きが有るようです。

ところが、これに強く反発したのが、拿捕した中国漁船を爆沈させた強硬手段で有名なスシ海洋水産大臣。
8月4日は捕獲漁業を外資に開放するのなら、大臣を辞任するという発言を行いました。
ジョコウィ政権の中でも国民から最も支持されているスシ大臣の言葉だけに、辞任に至ると政権への打撃にもなることから、ジョコウィ大統領も簡単には事を進められない状況になっています。

インドネシアの漁業は多くが小さな木造船によって行われているのが現状で、確かにこれが外資開放されると資本力も技術力も持たない地元漁師は太刀打ちできない状況が生まれるだろうことは想像に難くありません。スシ大臣が自分の首をかけてまで反発するのも頷けます。しかし一方で、そうした遅れた分野だからこそ、外資を入れて近代化と急速な発展を図るという考えも有ります。漁業は日本の得意な分野の1つであり、造船業、冷凍・冷蔵倉庫業、物流業など、いずれも日本が強い分野がそれに連なっています。つまり漁業の外資開放は日本企業にとっても大きな商機になると思われます。

スシ大臣の言動で、一筋縄ではいかないことは間違いないですが、今後も注目すべき流れです。